理事長挨拶

理事長 松谷雅生

“一刻も早く、より効果的で安全な医療を患者さんのもとへ”、本社団法人は、その実現を目指し、新規医療の開発研究を促進、支援する組織です。

始まりは平成15年の『NPO法人 ひろしまがん治療開発推進機構』の設立にあります。当時、わが国の臨床開発研究は質・量ともに世界の趨勢から大きく立ち遅れ、さらなる衰退も懸念される状況にありました。これを支援する制度や組織は、質量ともに大きく不足し、新規治療(薬)提供までの時間はさらに延び、その数・種類も限られてしまう可能性すら危惧されておりました。こうした状況を背景に、NPO法人 ひろしまがん治療開発推進機構が設立され、有限責任中間法人次いで社団法人化を経て、今日の先進医療教育・開発推進機構(Development Organization for Frontier Medical Education and Therapeutics)に至っています。

この間、本法人は、一貫して、新規医療開発の基盤研究及び臨床試験の支援、研究の実施に不可欠な人材の育成、その教育ツールの開発・提供などの事業に専心してまいりましたが、同時に行政や学会、民間組織等による開発研究の基盤整備も急速に進みました。今もなお決して十分とは申せませんが、新規医療開発研究を取り巻く環境は大きく変わり、これに伴って社会的ニーズにも変化の兆しが認められています。

どのように世の中が変わろうとも、より効果的で負担の少ない新たな治療の開発は常に求められます。本法人では、現在、従来の事業に加え、その基盤、底辺の拡大を目指した高度専門職教育ツールの提供にも力を注いでおります。新規医療研究の重要性を理解し、先端的知識技術、人道的倫理的なルールを習得した人材の育成は、今後のさらなる展開に必要不可欠です。専門医・認定医の養成・認定機構や学会により効果的で負担の少ない教育プラットホームを提供することでこれに貢献すべく、e-ラーニングの公開・運用・管理業務を行うacademia.studyを開発し、すでに日本癌治療学会の「がん医療専門チームスタッフのためのe-ラーニングプログラム: CAEL」及び「がん医療ネットワークナビゲーター: NN」や日本小児血液・がん学会の小児・AYA世代のがんの長期フォローアップ体制整備事業:LCAS等でご利用いただいており厚労省・長時間労働医師への面接指導の実施に係る研修事業e-learningにはシステム環境を提供してます。

これからも本法人は、新規医療の開発に対して、斬新で高い可能性を有する基盤研究及び臨床試験の企画、推進を支援するとともに、高度専門的研究者、リサーチナースやデータマネージャーなど安全で効果的な開発研究を行うのに必要な人材育成の支援を行ってまいります。ご指導、ご鞭撻賜りますよう心からお願い申し上げます。

2021年4月吉日